薪の準備
Burning Wood in Stock


薪ストーブを1シーズン使ってみて,使った薪の量は約3トン。すべて原木から一人で薪作りをするとなると,生産性の低い老人の体力では,1年中薪割りをしなければならないことになりそうです。でもそうすれば,一冬の暖房費はほとんどタダになります。体力の続く限りやってみましょう。また薪は,化石燃料ではないので,温暖化や異常気象を抑え,家計だけでなく地球にも「優しい」燃料です。

ちなみに薪が家計に「優しい」のは自己調達するからであって,お金を払って購入したら灯油より燃料コストがかかります。北海道や軽井沢のような寒冷地では,すべての薪を購入した場合,一冬に50万円くらいは燃すらしい。

ちょっと話がそれますが,暖房器具の比較をしてみました。

 

拙宅の薪ストーブホンマLS-750は,カタログでは18000kcal/hなので(前年度カタログでは同じモデルが12000kcal/hでした。どうなっているの?),1kW=860.4kcal/hとすると14kW(12000kcal/h)または21kW(18000kcal/h)です。こうして比較すると,電気のエアコンが出力幅が大きいことに気付きます。つまりエアコンは,立上がりで電力を食うが,定常運転に入ればほとんど電気を食わない。断熱の効いた家なら灯油よりも経済的であるかもしれない,ということです。さすが日本のメーカーが省エネの研鑽を重ねただけのことはあると思います。ただしエアコンはヒートポンプなので,外気温度が極端に低いと能率が悪くなります。北海道であまり普及しない理由はそのへんでしょう。

薪ストーブは,ストーブ自体が蓄熱体なので,温度上昇して暖気を感じるようになるまでに時間がかかります(30分くらい)。しかもチョロ焚きができないので,省エネ暖房器ではありません。無料の薪を入手しないかぎりは最も不経済です。

そこで,その薪調達です。拙宅では敷地を整地したときに伐採した木が,薪にすれば3年分くらいはあります。まずはこれを使い切る。


薪作りの第一歩は,ストーブに入る長さにチェンソーで原木を切るところから始まります。馬力のある40cc以上のエンジンチェンソーが必須。ホームセンターで売っているかわいらしい電動チェンソーでは絶対にダメです。

 

Wood blocks chopped by an ax after the chainsaw work.

ストーブに入る長さに原木をチェンソーで玉切り(輪切り)して,斧で4つに縦割りします。

 

Ax made in Germany. The hickory handle from USA.

購入した斧は,ドイツ製の2kg。現役時代にさんざん振り回した岩石ハンマーと同じ重さなので,重さに負けることはなかろうと,試し振りせず通販で買いました。和斧のようなまっすぐの柄ではなく,微妙にカーブしていて,これが手になじんで使いやすい。米国産ヒッコリーの柄と書いてありました。ヒッコリーは,クルミの仲間ピーカンナッツの木です。

 

Wedge shape head.

薪割り斧は,このようにエラの張ったクサビになっています。薄い刃だと薪に食い込んで抜けなくなることもあるとか。

ちなみに斧は,人類が民族や国家に分かれる以前の石器時代からある道具なので,万国共通です。その後の改良で微妙に地域差があるが,「振り下ろして切る」という機能はどれも同じであり,人類のもっとも原始的な道具の一つ。

薪を斧で腕の太さくらいに割った後,薪棚で乾燥させます。玉切りした原木のままでは,なかなか乾燥しません。薪の乾燥は,樹木の細胞内に含まれている水分を追い出すことが目的なので,割って樹木の組織を破壊しないと乾燥に時間がかかるわけです。

割った後に薪棚で2年乾燥が必要というのは「ネットのおじさん情報&都市伝説」だそうで,1辺8cmに割れば1年乾燥で十分らしい。(https://exprius.net/is-firewood-dry-for-1-year-dry/) でも8cmって,ちょっと細くないかな? 4x4材より細い。火持ちが悪そうです。

1年乾燥で十分とは言っても,薪棚がカラになる春に次年度の準備を始めると,乾燥期間は次のシーズンまで半年しかありません。したがって結局は,2年分の薪棚が必要ということですね。

 

The shelf of burning wood.

軒下の雨がかからないところに積んでいますが,まだ全然足りません。これでたぶん2~3ヶ月分くらいでしょう。薪のサイズをキチッとそろえるひともいますが(ウチの近所の家。キッチリ整然と積んであって,使うのがもったいないくらい),私は,長さ・太さが不ぞろいの方が使いやすいと思います。

 

Felling trees.

こちらはアカマツの原木。少しずつ切らないと重くて持ち上げることもできません。マツやスギなどの針葉樹が薪に向かないというのは嘘です。十分乾燥すれば良い燃焼をしてくれますが,燃えるのが早いのが欠点。ストーブに薪をくべる回数が増えます。