玄関ステップ

Entrance Wood-deck

 

玄関ステップ(ウッドデッキ)は,友田さんがあり合わせの丸太でとりあえず作ったものをしばらく使っていました。

 

ちゃんとしたものは私がDIYで作ることになっていたのですが,基礎上面のGL高が700mmもあるので,何か踏み台は必要。そこで友田さん,敷地に生えていたアカマツを適当な長さに切ってビス止めしただけのステップを作ってくれました。できてみると,「味があって良い」という訪問者もいたりして,なかなか棄てがたい。1年以上このまま使っていました。

 

 

しかし友田棟梁が,点検に来るたびに「早く作ってよ」とウルサイし,材料のACQ* 2X6材を軒下に積んでおくのも邪魔になってきたので,2月の厳冬期に作り始めました。

 

*ACQとはAlkaline Copper Quaternaryのことだそうで,和訳は不明ですが,銅イオンの防腐剤のようです。毒性が低いので住宅によく使われます。2X4材にこれを加圧注入したものがACQ材と呼ばれます。

 

ふつうウッドデッキは上から見て矩形にするものですが,玄関前は裏のカーポートから出たクルマが通るところです。そこで,クルマが引っ掛けないように角を落とすことにしました。ただ落とすだけじゃ芸がないので,全体を弧状にすることを思いついた。結果的にちょっとおしゃれな玄関ステップになったと思います。

 

設計図です。曲線は単純な円弧です。組み立ててから丸ノコで切り落としていきました。また,中心が微妙に(板1枚分)左にズレています。これは意図的にやりました。というのは,外から玄関を開けるとき,人は玄関ドアの正面ではなく,玄関ノブの正面に立つからです。だからデッキの一番広い部分は左にオフセットしていた方が使いやすいはずです。

 

作製中。下のステップから先に作りました。2X4材用の束石を埋めます。このレベル合わせが一番手間取ります。

 

下2段が組み上がったところ。1段ずつ独立(自立)していて,重ねてビス止めするだけです。材料が余分に必要だが,工作はものすごく簡単です。

 

3段完成です。

 

 

なお,次の写真は2000年頃にDIY雑誌を参考にしながら松江の自宅で作ったウッドデッキです。このときはACQのことも知らず(そもそもACQがまだなかったかもしれない),ナマのSPF材* に水性ウレタン塗装をしただけだったので,5年くらいで無惨に腐ってしまいました。でもこの失敗でいろいろと学びました。

 

*SPFとは,spruce(トウヒ),pine(マツ),fir(モミ)のこと。2X4材はこれらの木材で作られています。成長が早く安価に手に入り,柔らかいので加工が容易,針葉樹だから素直にまっすぐ,などの特徴が建材に向いている。欠点は腐りやすいことでしょうか。

 

このときは,DIY雑誌に書いてあったとおり踏み板の隙間をL金具1枚分(2mm位)にしたが,狭すぎて,すぐに犬の毛や落葉などのゴミが詰まってしまいます。ゴミは雨水を含むので木材の大敵。乾きにくくて腐朽の原因となります。2mmのスペースでは一度詰まったゴミは容易には取れません。10~15mmは必要です。それからウレタン塗装は堅い被膜を作るので,材木と被膜の間に雨水が残ります。記事にはそういうことは何も書いてありませんでした。雑誌記事なんていいかげんなものですね。塗料も,浸透性の油性オイルステインでなければ,かえって腐朽を促進することになります。

 

 

木は湿気が大敵ですが,逆に,雨水が残らず翌日には乾いてしまえば,意外と腐らないものです。たとえば屋根の波風板などは完全に雨ざらしだが,これが腐ったという話はあまり聞かない。また,常時水没している場合も腐りにくいようです。イタリアのベネチアは,海岸の軟弱な地盤に多数の木の杭を打ち込み,その上に都市を建設しました。水に飽和した地盤に打ち込まれた杭は,数百年間腐らずに持ちこたえているわけです。

 

さて,今回の玄関デッキ。5年以上風雪に耐えてくれるでしょうか。