建具
Doors and Windows


いくら丸太壁の断熱性能が高くても,隙間風があったり窓そのものの断熱性能が劣るようでは,家全体の高い断熱性は達成できません。とくに拙宅は,安曇野という寒冷地に建てるため,断熱性能は万全にする必要がありました。

寒冷地では,窓・ドアはペアガラスが最低条件。ガラスが二重になっていて,二枚のガラスの間に熱伝導率の低いアルゴンガスなどを封入したものです。また,サッシは樹脂か木製。アルミサッシは不可です。アルミの熱伝導率はきわめて高いので,せっかくペアガラスを入れてもサッシが外気温と同じになり,たちまち結露か霜でびしょ濡れになります。丸太壁は水に弱いので,建具が外気と室温の差で常に濡れていると,そこから腐ってしまいます。

 

ペアガラス。シルバーの部分がスペーサーで,これを挟んで2枚のガラスが合わせてあります。内側にはアルゴンガスが封入されています。

 

じつは35年前に札幌に1年ほど住んだことがあるのですが,そのときのアパートは窓そのものが二重になっていました。しかし外側の窓がアルミサッシだったため,結氷してしまい,一冬窓が開かなかった。

日本はアルミサッシが主流で樹脂サッシの普及率が低いが,メーカーHP(たとえばYKKap)によれば寒冷な欧米や韓国では樹脂が主流らしい(日本17%に対して独64%,韓国80%など)。樹脂というとひ弱な印象を受けるが,いまどきの樹脂サッシはアルミサッシなみにがっちりしてます。費用もアルミとほぼ同額です。なお,木製サッシは樹脂の3倍くらいの値段なので,わが家の選択肢からは外れました。

メーカーはLIXILにしました。740x700mmのすべり出し窓が一つ3万円です。天窓だけはVeluxなので,一ヶ所138,000円でした。

 

LIXILのすべり出し窓です。レバー式の把手でがっちり固定され,気密性は高い。網戸は,内側に巻き取り式のものが付きます。

 

外側は丸太壁に合わせて茶色。

 

Velux製天窓。このように内側に開く。垂直になるまで開くので,窓の外側の汚れを拭き取ることもできるし,ここから屋根に出ることも可。Veluxは,デンマークの天窓専門メーカーで,市場のシェアは圧倒的です。一時期雨漏りが指摘されていましたが,改善されたらしい。

 

拙宅では天窓は北側だけですが,それでも遮光スクリーンは必要です。これがないと夏場はたちまち温室状態になります。天井面のアルミ枠は網戸の枠。天窓は,採光と換気にはひじょうに効果的ですが,閉め忘れに要注意です。夜間や外出時に閉め忘れて雨が降ったら,家の中水浸しになってしまう。

 

 

ドアは無垢の木製です。アメリカのシンプソンというメーカー。デザインが良くて高品質,価格がリーズナブルなため(といっても錠・ハンドルなど含めて225,000円でしたが),ログハウスのドアの定番となっています。

 

シンプソンの玄関ドア。ベイツガ材(western hemlock)です。

 

ドアハンドル・錠はKwikset製。これもログハウスの定番です。

 

ベイツガのトイレ・洗面所ドアです。ステンドグラスの小窓付き。使用中かどうかがわかります。洗面所(右)の方は吊り引き戸です。室内ドアは断熱の必要がないので薄手にできており,価格もかなり安い。

 

洗面所吊り引き戸のレール(左)と振れ止め(右黄丸内)。床面にレール(敷居)はありません。

 

室内のすべてのドアに下枠を付けませんでした。高齢者住宅だから,つまづく原因は作らない。

 

これは裏口ドアで,やはりシンプソン製。丸太壁との隙間は,こうしてビニールテープや防風シートで目張りして隙間風を防ぎます。この上から目隠しのトリムボードを打ち付けるのですが,まだやっていない。

 

上部の防風シートがシワになっているのは壁のセトリングのためです。