Floor Planning

間取

 

家のコンセプトは:

  • 夫婦二人暮らしなので,20~30坪
  • 老夫婦だから平屋が基本。家の中に凹凸を作らない。2Fは,孫たちが泊まりに来たとき柔軟に対応するための雑魚寝スペースとし,したがって間仕切り壁なし
  • 対面式キッチン
  • 書庫(雑誌を含めた蔵書を全部持って行くつもりだったので,別棟書庫も考えたくらい)
  • 屋根は単純な大屋根,ドーマーなし

といったところです。

The first plan.

この図は最初に友田さんに送った間取私案です。誰にも相談せず(相談できる人がいなかった),「夢の丸太小屋に暮らす」などに掲載された実例を参考にしながら描きました。7x11mの細長い長方形の家です。

 

このシロート案に対して,友田棟梁のアドバイスは:

  • ログハウスは壁厚が大きいので,細長い家は狭く感じる。正方形に近い方がよい
  • 同様の理由で玄関風除室が狭い。寒冷地なので,雪の付いた長靴・コートなどのためにも,もう少し広い風除室が望ましい
  • 階段が急勾配
  • 矩勾配(45˚勾配)の屋根で軒の出を大きくすると,軒先端の下がりも大きくなり,採光には不利
  • 8寸勾配くらいでアウトリガーにした方が,ロフトスペース・軒の出・採光などで有利
  • トラスが好みか? この程度の屋根なら束立でも強度的には問題ないが?
  • 住みやすい家のためには,この段階での検討が大事。何度も図面を描き直してみること

といったことでした。

そして,「また図面をお送りください」,退職して「これからどのような暮らしをしたいのか等」をご連絡ください,と。

 

ふつうの住宅メーカーだと,こういうときには即座に施主案に近いメーカー案を「ご提案」してくるものです。そしてどんどん話を先に進めようとする。時間をかけてもっと考えろというメーカーは,まずないですね。営業という視点からみたら,それが当然でしょう。

 

しかし友田さんは,これからのライフスタイルも含めて相談に乗るというスタンスであり,プランを何度も練り直すことが,失敗しない家造りのために必要だ,と考えています。ああした方がよい,こうした方がよい,もっと考えろ,とは言いますが,プランの「ご提案」はしません。

 

そうして何度も図を描き(ver.15くらいまでいきました),友田さんとの往復メールでプランを練り直した最終案が次の図です。8x9mの正方形に近い「田」の字プランとなりました。なお,丸太小屋はログ壁の厚さが大きいので,ふつうの家のような尺モジュールではなくてメーターモジュールで間取を考えます。

 

This is the last plan.

薪ストーブは家の中心付近で,ストーブ背面のログ壁をくり抜き,煙突を寝室側に通すのは友田さんのアイデアです。ストーブ背後の耐火壁と煙突から,ほんわかとした温熱が寝室に伝わるだろう,ということでした。施工例はないらしいが,おもしろそうだからやってみましょう。二重煙突や耐火壁の表面温度は40~50℃程度らしいので,温水パネルヒーターくらいの暖房能力にはなりそうです。

 

この地域は冬に北アルプスから吹き下ろす北西季節風が吹くはずなので,屋根の南側,棟木に近いところに煙突を出します。屋根北面に沿って吹き上がる気流の流速線から考えると,ここは負圧になるので,煙突位置としてはベストでしょう。排煙を吸い上げてくれます。

 

なお,その後別荘地管理事務所のOさんに訊いたところ,この地は北アルプスからの直接の吹き下ろしというよりは,松本盆地方向の南北の風が多いとのことでした。いずれにしても煙突は理想的な位置です。

 

水回りは,給排水管ができるだけ短くなるように西側に集中させてあります。コンロをIHにすれば,建物内にガス配管を引き込む必要がなくなり,キッチンの壁を不燃物仕様にする必要もない。コスト減になります。

 

ガスは,屋外に設置する給湯機のみなので,給湯機に隣接してLPボンベを置けばそこでclosedします。なお,予定地の下水は,合併浄化槽→地中浸透です。松江の家が最初は合併浄化槽だったので,これの高い処理能力については体験済み。

 

風呂は追焚き式にして,ログウォールを湿気から守るため,ユニットバス以外は考えなかった。松江の家では水回りのトラブルに悩まされたので,このへんは設備屋さんにしっかり施工してもらいます。

 

キッチンユニットを対面式から壁付I型とし,ダイニングテーブルは伸縮4人掛に,応接セットは不要なので捨てた。寝室クローゼットもやめてハンガーラックにする。北側はドライブスルー式のカーポートです。ログウォールの交差部が飛び出しているので,幅3.6mと広めにしました。そのため物置兼用にもなります。

 

Right: east side, left: west side.

東面(右)と西面(左)。屋根は,大屋根7寸勾配,カーポート5寸勾配,片側60cmアウトリガーです。妻壁は漆喰左官仕上げ。トラスではなく,束立て仕様です。アウトリガーの小屋組は,屋根が大きく見えて堂々としているだけでなく,採光をあまり犠牲にせずに軒を深くできること,ロフトのスペースを広くとれることなどのメリットがあります。

 

Right: south side, left: north side.

北面(左)と南面(右)。北側にはロフト採光のため天窓を開けます。天窓というのは,ふつうの窓の3倍の採光ができるそうです。カーポートの支柱を独立基礎にすれば,助手席側の乗り降りも楽になる。豪雪地ではないので布基礎にして屋根落雪の侵入を防ぐ対策は必要なく,独立基礎で十分です。

 

N-S section.

中心部の断面図。ストーブの煙突は背面出しになります。寝室に抜いて,煙突の熱を寝室暖房に使おうという目論見です。

 

Building site and a flow line of a car.

敷地と家の関係を描いた図。200坪の土地ですが,安曇野市山麓保養区域指定のため,この地域の建蔽率は20%です。丸太小屋は軒が深いので,建蔽率では不利。

 

建蔽率というのは,軒が1m以上の場合は軒先から1mより建物側がすべて計算に入ります。たとえば軒が壁芯から1.5mあったら,壁芯+0.5mが「建物」になります。カーポートのような壁のない柱と屋根だけでも,建蔽率に加えなければなりません。我が家は19.1%で,ギリギリのところでクリア。


敷地の中央北寄りに家を建てて,北側にドライブスルーのカーポート,クルマは家の周りをまわるようにします。図面上でシミュレートしたところ,最小回転半径5.5mで通れることがわかり,3ナンバー車でもOKであることがわかりました。