階段

Stairs

 

ログハウスの階段は難しい。セトリングの影響を受けるためです。それから,2F床面の高さがログ壁を積み終わるまで決まらないため,ログ壁の仮組みが完成してから作り始めることになります。

階段の寸法は建築基準法に最低限の基準がありますが,そのとおりに作ると勾配57˚というハシゴみたいな非実用的階段になってしまいます。

 

松江の拙宅は45˚で,これでも歳とともに「キツイな~」と感じるようになっていました。そこで間取図では36˚くらいになるよう階段のスペースを取りましたが,ログハウスの階段は最終的には現物合わせなので,友田さんの作った階段は39˚くらいの勾配になりました。

階段は,基本的には1F床に固定します。2F床には寄りかかっているだけです。

ログハウスなので当然階段も丸太製です。丸太を半分にカットして踏み板を作り,長い丸太をこれも半分にカットして親板とします。壁側の親板は,スペースの都合上,半丸太ではなくて板状にカット。

 

踏み板です。

 

こちらは親板。踏み板を差し込む部分にホゾ穴を掘ります。

 

ログサイトでの仮組みのときに親柱を立てて階段を組んでしまいます。親板で踏み板を挟むように4ヶ所コーチボルトで締める。廻り階段なので,上部と下部とで別のユニットにしておきます。この上部だけで200kgはあると思われ,設置にはクレーンが必要です。

 

階段親柱の加工中。ログ壁への取付部には,セトリング対策の隙間があります。

 

階段・吹抜けの手すり親柱。右の角柱は階段の上段框です。割れないように背割りを入れてあるが,それでも割れました。ちなみに「背割り」とは,あらかじめ目立たないところに切れ目を入れて,材の収縮をここで吸収することによって他が割れないようにする技です。

 

階段・吹抜けの丸太手すり柱は,こんな風に2x8の根太に組ませます。

 

完成後の姿です。このように梁に寄りかかるようになっています。固定していないので,セトリングで天井が下がっても階段親板は梁の溝の中をずれ上がるだけです。間違って固定してしまうと,梁か階段のどちらかが壊れます。

 

上段框と階段親板の上面は最初ツライチだったのですが,2ヶ月で2F床がここまで下がった。

 

半年後にはここまで下がります。また,階段手すりの下端が留めてある親柱は1F床に,上端が留めてある柱は2F床にそれぞれ固定されているので,手すりそのものもセトリングの影響を受ける。それで手すり上端のコーチボルト通し穴は長穴になっています。框のスギ角材は,背割りを入れたけど,やっぱり割れました。

 

階段と吹抜けの手すり。スギの若木と枝を使っています。友田さん作です。ログビルダーという人たちは,自然の素材を活かして最小限の加工で利用する,ということに喜びを感じるらしい。これを作っているときの友田さん,鼻歌など歌いながらじつに楽しそうでした。自然素材なので設計図は無意味,現物合わせの加工です。

 

これは整地前の拙宅敷地に生えていたサクラの合体木です。セメダインで貼付けたわけではなく,自然に癒着したものです。こういうおもしろい木を目ざとく見つけて利用する。友田さんのアイデアです。