間仕切り壁

partition

 

トイレや洗面所など,室内の細かい仕切りは2x4材による間仕切り壁となります。

通常の木造住宅とほぼ同じですが,大きく違うのはセトリング対策です。生木の丸太は乾燥によって3%程度収縮するので,建築後5年くらいの間に丸太壁が縮んで,天井が10cmくらい下がってきます。これをセトリング(settling)と呼びます。

 

ちなみにマッキーさんは6%と言ってますが,やや大袈裟なようです。6%だと170mmくらいのセトリングスペースが必要ですが[11],友田さんは100mmしか空けていません。樹種によって違うのかもしれない。

 

このセトリングというのは,気付かないうちにジワジワと進行する,のではありません。最初の3ヶ月くらいは,ピシッとかパリパリパリーッとか,派手な音をたてながら丸太が割れ,ときにはロフトの床全体がドンッと沈む。まことにニギヤカです。音がしなくなるには半年くらいかかります。

一方の間仕切り壁の方は,乾燥済みの2x4材間柱で建ててあるので,セトリングしません。だから丸太壁と間仕切り壁を切り離しておかないと,間仕切り壁が丸太梁に押し潰されてしまいます。

 

間仕切り壁の間柱です。間仕切り壁に筋交いを入れるビルダーもいますが,丸太小屋では間仕切り壁は家を支える構造壁ではなく,壁自体も軽いので,筋交いの必要はないと考えます。最上部の丸太梁に固定した枠と,下の枠が切り離されていて,間に10cmほどのスペースがあります。これがセトリングスペースと呼ばれるログハウス独特の構造です。間仕切り壁が丸太梁に押し潰されるのを避けるための「逃げ」がセトリングスペースということです。

 

間仕切り壁最上部は梁に固定され,間仕切り壁からは完全に絶縁されています。

 

ここはトイレと浴室の間の間仕切り壁です。上部の隙間がセトリングスペースです。なお,間仕切り壁にはグラスウールを「防音用」に入れることにしました。そうしないと,このガランドウの壁ではトイレの「音」が隣室に響き渡ることになるでしょう。

 

仕上がり。セトリングスペースは,上から板を貼って隠します。この板は,上部だけビス止めし,間仕切り壁の方には固定されていません。

 

それから,友田さんの話では,別荘の方がセトリング期間が長いそうです。通年居住の住宅の方が乾燥が早いということでしょう。

 

間柱を丸太壁に固定する場合もセトリング対策が必要です。間柱に縦の切れ目を入れ,5寸釘で上下の動きを妨げないように打ち付けます。丸太壁には壁板を差し込む溝が切ってあります。

 

ログサイトで間仕切り壁の溝切りをしているところ。手持ちのチェンソーですが,ビルダーさんは墨線に沿って定規で引いたようにまっすぐ溝を切ります。

 

仕上がり。短い丸太が重なっているように見えるが,間仕切り壁の板材が上述した溝に差し込まれているためにそう見えるだけです。