ステージ

Stage

 

ふつうの住宅では床工事は壁ができた後からやりますが,チーム友田ではログを積む前に床下地まで作ってしまいます。それをステージを組むと言ってます。基礎が高いので,床があった方がその後の作業がやりやすい,ということのようです。

 

この方法のメリットは,作業能率が良く,大工さんの安全が確保できることですが,デメリットとしては,雨に弱い。なにしろまだ屋根も何もないのだから。で,拙宅の場合,不幸にも雨にたたられて最悪の事態となりました。コンパネは濡れると黒く汚くなり,そのアクでスタイロフォームも無残に汚れた。基礎の内側は雨水が溜まって池になりました。これらの復旧に余計な手間と時間を要した。

 

したがってこれは,雨が降らないことを前提にした工法です。

 

この図は,基礎・土台・根太・床・ログ壁の関係を示した断面図です。ふつうの木造住宅とほぼ同じですが,ログ壁を支えるだけの頑丈さと,万全の湿気対策を施します。

 

コンクリート基礎の天端にアスファルトシート(屋根の防水シート)を敷き,その上にACQ注入した2x8材を乗せます。ここは基礎のコンクリートからの湿気が長い間上がり続けるので,防湿・防腐を徹底するわけです。これらにはドリルで孔を開けて,基礎から立ち上がるアンカーボルトを通しています。

 

この上に2x8材を2ないし3枚抱き合わせにして土台にします。アンカーボルトと干渉するときは,チェンソーでその部分だけ土台を欠き込む。基礎アンカーボルトには,高ナットでログ壁のアンカーボルトをつなぎます。

 

大引は,2x10材3枚抱き合わせで,基礎のコンクリートにあらかじめ作ってある切り欠きに引っ掛けます。この切り欠きは,コンクリートを流すときにスタイロフォームを所定のサイズに切って埋め込んでおき,固結後取り出せばできます。大引と基礎コンクリートの接触部にも,ルーフィングシートをかませてあります。

 大引の上端はACQ材の上面に合わせてあります。ここに2x8の根太を載せれば,土台の上端と同一レベルが得られるというわけです。

 それから,大引は下に凸の湾曲をするよう反りを合わせるそうです。大引の下には何カ所か束を入れますが,下に垂れた大引を束で持ち上げるのは簡単だが逆に引下げるのは困難,だからだそうです。これを間違えるとギシギシと床鳴りのする家になってしまう。DIYの本には書いてない,木のクセを見ながら工事する大工さんのノウハウですね。

 

大引の間隔は通常2mスパンですが,書庫や薪ストーブ炉台下などは,床補強のため大引を1mスパンで入れます。2x4材の支えは仮留めです。

 

(左)土台と同じ幅の2x8材根太を450mm間隔で張っていきます。(右)根太間にスタイロフォーム50mm厚をはめ込み(根太にはスタイロ受けの角材を止めておく),この上に12mm合板を仮留めしてステージは完成。(右写真:友田撮)

 

完成したステージ。これが床下地となります。(友田撮)

 

床下地をはがして強制送風で乾燥しているところ。床下の構造がよくわかります。

 

建築中の土台です。基礎・ACQ材・土台・床下地材・丸太壁と積み重なる様子が見えます。

 

完成後はこうして板金で土台を覆い,雨水がかかっても大丈夫なようにします。といっても,「経験したことのない台風」でも来ない限りここに雨水がかかることはありません。丸太壁最下段の水切りも省略。

 

ようするに,土台と小屋組はふつうの木造住宅とほとんど同じです。だからその部分は,規格品のツーバイ材や合板をどんどん使って手際よく組上げていく,ということです。それにしても,このツーバイ材抱き合わせ土台で,一面の重量3t以上になるであろう丸太壁を支えるのだから,木という素材の強さにあらためて感心します。