小屋組

Roof System

 

屋根の構造のことを小屋組と言います。拙宅の小屋組は,柱を立てて壁をつくるふつうの切妻壁木造住宅と同じです。

 

大工さんの専門用語はひじょうに数が多く,彼らと話しても最初は何言ってんだか全然わかりません。ログハウスの場合,さらにログビルダーだけが使う英語も加わって,難解度は倍増します。とりあえず下図に小屋組の基本用語(日本語・英語)を載せておきます。

 

丸太壁の最上段丸太をplate logといいます。これと直交するのが小屋梁で,小屋梁には柱(棟束・小屋束)が立ち,棟木と母屋を支えます。棟木・母屋・軒桁は,屋根勾配に合わせて平らにカットされ,そこに垂木が45cmスパンで架かる。丸太壁より外側に軒桁が位置するのがアウトリガーの小屋組。アウトリガーにしない場合は,plate logが軒桁を兼ねることになります。

 

屋根勾配は,直角三角形底辺を10寸としたときの高さx寸で表わします。10tanθというわけです。我が家では,大屋根が7寸勾配,カーポートの下屋(げや)は5寸勾配です。

 

垂木がかかって小屋組の全体像が見えたところ。垂木は,強度と屋根裏通気層確保のため,贅沢して2x8材を使いました。2x8垂木はかなり迫力があります。

 

棟上げが済んで束と棟木・母屋が上がった状態。束に妻壁の板を差し込む溝が切ってあるのが見えます。棟上げの日は小雨でした。上棟では雨は縁起が良いとされているそうですが,大工さんの足元は滑るし丸太は濡れるし,何も良いことありません。

 

小屋組を内側から見た写真。小屋梁の上面が平坦に削られているのが見えます。この面が2Fの基準(floor joist)です。そしてこの小屋梁平坦面にホゾを組んで束柱が立ちます。軒桁も小屋梁に載るので,小屋梁には屋根の全荷重が曲げ荷重としてかかることになります。木材は曲げに弱いので,平面カットしてもなおその強度を保つように,小屋梁にはとりわけ太い丸太を使うのがふつうです。丸太小屋ではなくても,日本の伝統構法の家では,曲げモーメントに耐えるよう上に反った丸太材を使うことも少なくないようです[14]

 

加工が終わった束柱です。

 

加工中の束柱。丸ノコの垂直切りでホゾを加工しています。上下逆に丸ノコを持っているように見えるが,これがキックバックを避ける使い方のようです。

 

最後はノミで仕上げです。

 

 

棟木を支える棟束は3本ですが,中央のものはロフトのど真ん中に立つので邪魔。そこで,母屋束に二重梁を渡してそこに立てることにしました。こういうところは大工さんにとっては常識なのでしょうが,シロウトには考えも及ばない。トラスではなくても広いロフト空間が確保できました。

 

ロフトの梁(実際は丸太壁最上段)より上にもう1本梁があるので,二重梁といいます。