Notch cutting

ノッチのカット

 

グルーブのカットが終わったら,続いてノッチのカットに移ります。

 

Notch cut by a chainsaw.

ノッチは半分ずつカットします。チェンソーを少し斜めに入れて,ノッチの中央をわずかに凹ませるのです。見ていると簡単そうですが,熟練の技であり,シロウトが真似しても思うようにチェンソーの刃が入りません。最後は刃の側面でブラッシングをして…

Finish by sander.

仕上げはサンダーで,ファイナルスクライブ線ぴったりにノッチとグルーブを削ります。といっても,ビルダーさんたちはチェンソーだけでスクライブ線ギリギリにカットするので,サンダーはほとんど不要なくらいです。

 

グルーブ,ノッチのカットが済んだら,丸太をひっくり返して,チェンソー水平切りでサドルのスカーフをカットし,曲面カンナで仕上げます。薄く削ぐようなカットで,シロウトには難しい。私は最初全然できなかった(刃が上に戻ってこない)のですが,右手は親指でスロットルワーク,左手はバーの下の方を持つとうまくいきました。この動画はプロの作業を撮ったものです。左手の親指がチェンソーのバーの上から軽く添えられているのは,刃の角度を微妙にコントロールしているのだと思います(たぶん)。余分な力が加わっていないことが動画からも見てとれる。ビルダーによってはチェンソーの上刃で(つまり逆方向に)切る人もいます。[3] それぞれ流儀があるようですね。ただし上刃を使うとチェンソーが自分の方に押し出されてくるので,油断できないと思いますが。

サドル頂部は幅80mmです。ここは好みでもっと狭くするビルダーもいるらしい。なお,チーム友田では,ファイナルカットをグルーブ→ノッチ→スカーフの順に仕上げますが,先にスカーフをカットするビルダーもいます。

ノッチ頂部に隙間があるのは,セトリングによって上の丸太がつかえて「馬乗り」にならないようにするためのクリアランス。ここがつかえると丸太間に隙間が開いてしまいます。

スカーフは,中央がかすかに盛り上がっているので,両側がわずかに膨らんだ模様(楕円形の目玉が2つできる)になります。両側から曲面カンナをかければ自然とこうなるのだが,間違って中央が凹んでしまった場合は,雨がノッチに流れ込むことになるのでNG。

 

こうしてサドルノッチを刻んで丸太を次々と積んでいくことにより,交差部に力強い独特の木組みが見れるようになります。

 

このとき,ノッチとスカーフの描く曲線が1点で交わるものをfour lines into the one point saddle notch,略してフォーポイントサドルノッチといいます。美しい職人芸なので,こういうところにこだわるビルダーさんも少なくない。

 

友田さんは,あまりこだわっているようには見えなかったが,ほとんどすべてinto the one pointになっていました。

 

 

ノッチの下側にもスカーフカットを入れる場合は,ウェッジノッチといいます。丸太が細いと強度不足になるそうです。しかし,太い丸太であったとしても,ノッチの接触面積は通常のサドルノッチよりも小さくなり,手間も余計にかかるので,何のメリットがあるのか私にはよくわかりません。このログハウスは,拙宅近所の宿泊施設です。