妻壁

Gable End

 

拙宅のような,開いた本を伏せた形の屋根を切妻屋根といいます。英語ではgable。グリーンゲーブルズといったら,赤毛のアンが養子に引き取られた家ですね。

 

屋根が切れている側の壁上部,三角形の部分が妻壁(gable end)です。妻壁に屋根が張り出した部分をケラバと呼んでいます。昆虫オケラの羽という意味だそうです。雨が流れる側の屋根端が軒。

妻壁まで丸太を積む方法はログゲーブルエンドと呼ばれています。剛性に不安があるし,見た目も重い感じになりますが,屋根勾配が緩ければ採用してもよい方法だとマッキーさんは言ってます[11]。拙宅は漆喰左官仕上げなので,妻壁に関しては特別なことはしていません。

 

妻壁は,2x4材で間柱を立てて,外壁と室内壁を張り,壁内には断熱材を入れます。束柱が丸太なだけで,ふつうの木造住宅と同じ造りです。その束柱はタイコ挽きで,2x4間柱との間に隙間ができないようにしてあります。この妻壁に斜めの筋交いを入れるビルダーもいますが,屋根全体が「筋交い」の役割を担っているのだから,ほとんど無意味と思われます。

 

タイコ挽き加工された束柱。

 

 

妻壁・束柱の水平断面。束柱に打ち付けられた2x4材間柱を抱きかかえるように,外壁(コンパネ)と内壁(パイン材)が貼り付けられます。束柱には溝を切って,そこに壁材を差し込む。これで柱と壁の隙間がなくなります。見た目の収まりだけでなく,隙間風対策のためにも重要です。壁の中には断熱材をびっしり詰めます。

 

束柱に2x4材が打ち付けてあります。母屋の丸太にも壁材の溝が刻んであります。

 

外壁にコンパネを貼り,間柱の間に断熱材(グラスウール)を詰めます。今のグラスウールは白くて綿の繊維のように細く,素手で触れてもチクチクしません。でも水に濡れるとやはりペッタンコになってしまって復元力もないので,防湿シートの袋に入れてあります。

 

 

外壁を板壁にするやり方もありますが,拙宅では漆喰壁にしました。そのため,外壁の下地に安価なコンパネ,そこに防水シート・金網を貼り,モルタルを塗ります。そしてこのモルタルの上に漆喰を塗っていくわけです。

 

妻壁右半分のグレー部分が下地のモルタル,左が漆喰を塗り終わったところ。足場がなければ不可能な作業です。お盆明けの猛暑の中だったため,漆喰がたちまち乾いて延びが悪くなります。けらばの棟木付近はとくに熱のこもるところで,漆喰だけでなく人間も脱水症で干からびてしまいそうな,ひじょうにやりにくい作業でした。

 

内壁はパイン材仕上げです。間柱に直接パイン材をネイルガンで打ち付けていきます。