基礎
Foundation
ログハウスでは,一般木造住宅に比べて総重量が大きいことと,雨のはね返りを避けるため,基礎が異様に大きくなります。もちろんベタ基礎です。
しかもここ安曇野は,凍結深度600mmの寒冷地なので,それ以上深く埋める必要がある。地面(GL)からの立上がり700mm,基礎立上がり幅180mmの巨大な基礎となります。
それだけの鉄筋と生コンが必要になるわけで,温暖地よりも基礎にお金がかかるのは仕方ない。床下は,高さ900mmにしたので,ちょっとした物置にもなります。床下換気は,自然換気ではなくて,24時間換気扇による強制換気です。
ベタ基礎では,底盤をまず打設した後に立上がり部分の枠を組むので,その間にどうしても継ぎ目ができる。そこからの水の浸入を防ぐため,細いビニールチューブのようなパッキンを入れます。
底盤にも念のための水抜き穴が開けてあります。湿気はログハウスの大敵ですからね。それにしても工事中の基礎は,基礎屋さんの工夫があれこれ見えておもしろい。出来上がってしまえば全部コンクリートの中に埋まってしまいます。見えなくなるからやろうと思えば手抜きもできるわけで,あまり安い工事費の場合は気をつけた方がよい,ということでもあります。
砕石,突き固め,ビニールシートと進んで…
捨てコンの上に型枠を組んでいきます。(基礎工事中の写真はすべて山建さん撮)
鉄筋です。これ専門の配筋屋さんがやるそうです。昔のゼミ生に,実家が基礎の配筋をやっているという学生がいました。彼は家業を継いだようです。
先に底盤に生コンを打設してから…
立上がりの部分を作ります。
配筋中の基礎立上がり部。最下部に見える細いチューブ状のものがパッキンです。
独立基礎の配筋。ボイド管の中にスパイラルの鉄筋が見えます。
中央の人物と比べると,いかに巨大な基礎であるかがわかります。給排水管は,この基礎の下部を通って床下に抜くことで凍結深度をクリア。
カーポートの配筋。左側のコンクリート円柱は,下屋の柱を支える独立基礎です。ふつうは雪の吹き込みを嫌ってコンクリートの低い壁にするのですが,クルマ助手席側の乗り降りがしやすいように独立基礎としました。
基礎工事完了です。手前はドライブスルーのカーポート。下屋(げや)の柱3本を受ける独立基礎もできています。強制換気用の孔が見えます。それにしても石ころだらけですね。扇状地礫です。
基礎上端付近に見える切り欠きは2mスパンの大引受け。写真右端に並んでいる4本のボルトは,炉壁の鉄筋アンカーです。2つ並んだ孔は給水・給湯用,やや大きな孔が排水用。床下は850mm確保してあるので,四つん這いで移動でき,匍匐前進を強いられることはありません。
奥は書庫になるので,大引受けのスパンが1mになっています。右端に換気孔,底盤には水抜き穴が見えます。
こちらは松江拙宅の基礎。1992年建築時の写真です。布基礎だったんですね。だから底盤には鉄筋が入らず,たんに土間コンを打っただけ,そこに束石を並べてモルタルで汚らしく固定してあります。この家,床下や天井裏など見えないところの工事は雑で,しかも配管資材などの廃棄場になっていました。施工業者の品性を疑います。床下は45cmくらいなので,床下点検のときは小柄な人が匍匐前進するしかありません。それでも当時の一般木造住宅に比べれば立派な基礎です。
これは実家近所で2018年に建築中の家の基礎。ようするにふつうの木造住宅の基礎です。ベタ基礎になっています。が,型枠の継ぎ目にスが入っていたりして,雑な工事だな~ と思います。これじゃ雨で基礎が濡れれば,コンクリートのクラックを通って床下に雨水が浸入するおそれあり,ですね。しかも床下は人が入れないくらい狭いから,家が建った後は床下雨漏りの点検もできない。この基礎には換気孔がないので,おそらく換気スペーサーによる自然換気でしょう。なかなか湿気が抜けませんよ。